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Art Court Frontier 2007 #5

展示作品

View of the exhibition

太田麻里作品の展示風景
(左上) 太田麻里によるパフォーマンス映像(約26分)
(左下) drawing performance(『展覧会の絵』)[2007年/30×45×1cm/太田自身が使用していた『展覧会の絵』の楽譜]
(中) 1815年、ワーテルローの戦い(ベルギー)で死んだフランス兵が着けていた、小さな砲撃に打ち抜かれた鎧。[無題/2007年/331×272cm/使用していた楽譜をバラバラにしてつなげたもの、マーカー、鉛筆]
(右) 1690年頃、ブンタウ(ベトナム南方)で引き揚げられた沈没船ジャンク(中国の大型船)から大量に発見された西欧に輸出するために作られた初期の陶器、想像上の爆弾。[無題/2007年/272×384cm/同上]

かつてレッスンのたびに開かれ、目で、指でたどられたピアノの楽譜の頁をすべて解き広げ、つなぎ、その上から、射抜かれた鎧や水没した壷の群を大きく描き重ねる。
Detail of Mari Ota's Work そんな太田の作品に触れながら、私はいくつかの「抹消」について考える。用途を抹消された、あるいは遺棄された物のイメージによる、譜面のシークエンスの抹消。マーカーや鉛筆をひたすら塗り込んで行くその身振りには、どうやら、ドローイングの本性に接するものがありそうだ。型通りのデッサンが専ら知の制御を被るのとは異なり、ドローイングはイメージの産出ないし転写である以前に/以上に、支持体の抹消というモーメントをはらむ。それは作者の痕跡として主体を召喚するさらに以前の、未分の身体性の顕現といってもよいだろう。私たちは描き方、書き方は学んでも、消し方、抹消のディシプリンからは大きく自由でありつづける。あるべきドローキングとは、したがって、徹頭徹尾、抹消の身振りに近づくのではないか。太田の作品を見て以来、私はなおさらにそう感じている。

アートクリティック 金井 直

『Art Court Frontier 2007 #5』図録より

展覧会概要

Art Court Frontier 2007 #5

Exhibition Flyer of 2007年6月29日(金)〜7月14(土)
平日11:00〜19:00(土曜日は17:00まで)[日・月・祝日休廊]
会場:アートコート ギャラリー

出展作家:太田麻里/川口珠生/西 憲治/川口奈々子/森 太三/三宅砂織/稲葉高志/笹倉洋平/安田辰雄/津田智恵/森 善之/パラモデル

主催:アートコートフロンティア展開催実行委員会、アートコートギャラリー(有限会社八木アートマネジメント)
協賛:ターナー色彩株式会社、三菱地所株式会社、三菱マテリアル株式会社、オー・エー・ピー・マネジメント株式会社
認定:社団法人 企業メセナ協議会

関西在住の気鋭作家12名が一堂に集い、作品を発表します。
「Art Court Frontier(アートコートフロンティア)」は、今後の活躍がますます楽しみな魅力溢れる作家たちを紹介するグループ展です。アートコートギャラリーのアニュアル企画として2003年より開催し、いよいよ5回目を迎えます。
今回、出展作家の推薦は美術界の第一線で活躍中のアーティスト、キュレーター/アートクリティック、ジャーナリスト/アートライター、そしてコレクター/美術愛好家の各4領域より計12名に依頼し、各1作家を推挙していただきました。推薦者たちの思惑と、それを超える作家たちのダイナミックな作品展開によって、展示スペースは毎年熱きフィールドと化します。「未来へと続く現代美術」の展覧会、第5ラウンドをどうぞお楽しみに!

関連イベント:ギャラリートーク
6月30日(土)、7月7日(土)
両日とも14:00〜16:00
出展作家によるプレゼンテーション + 推薦者とのディスカッションを行います。
参加費:500円(ドリンクサービス有、要予約)

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